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画竜点睛を欠く

タイトルの如く不完全燃焼なアラフォーブログ 本と音楽と映画が主軸

ジャズスタンダードのススメ その背景と成立の歴史1 黎明期

音楽 音楽-ジャズ

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先日 読者になっている はてなブログでちょっと恥ずかしいコメントをしてしまったので代わりと言ってはなんですが、僕のジャズ趣向を知ってもらう為にシリーズ形式で書いていきます。

ジャズスタンダードとは多くのジャズメンがカバーする代表的な曲の総称のようなものです。アドリブという行為が付加価値としてある為、カバーという言葉自体 語弊があると思っていますが、演奏する人やアレンジ、楽器、バンドの編成形態によりまったく違った印象となります。

いきなり「ババーン この曲からです」とやってもよかったと思うのですが、読んでくれている方がどれほど、この音楽ジャンルに興味があって造詣が深いのか推し量れませんのでまずは僕なりの解説をしておきます。

普通検索して出てくる歴史的な始まりは「ジャズはアメリカのニューオリンズで生まれました」的な所からが大半を占めますので、さらにその前、背景として必要不可欠だった各要素についても詳しく載せておきます。

タイトルはジャズスタンダードのススメですが、今回も含め2回ほどは前置きとなります。一様 曲を絡めた解説にはしていますので、お楽しみ頂けるかと思います。 

黒人側からの発展

労働歌 ≒ ブルース

時は17世紀頃 大航海時代を経てアメリカ大陸が列強の争奪の地となったあたりから始まります。植民地でのプランテーション経営の為、労働力としてアフリカ大陸から大量の黒人奴隷が入植させられました。

そこでの労働の中でブルース(Blues)の元となる労働歌いわゆるワークソングとなるフィールド・ハラー(Field Holler) やコール・アンド・レスポンス(Call and Response)が習慣化し定着します。

中にはこの労働が過酷を極めた為に生まれたと記述されていることもありますが、奴隷と共に海を渡ってきたアフリカの文化(社会の中で機能していた習慣)であったとされている方がしっくりきます。*1

Field Holler - YouTube

Rosie and Levee Camp Holler - YouTube

ヌーベル・オルレアン → クレオール

ルイジアナがアメリカに売却される前の一時期はスペイン領であったこともありましたが、長くこの地はフランスの植民地として建設され、ニューオリンズはオルレアン公の名前からヌーベル・オルレアン(Nouvelle Orléans 新しきオルレアンの地)という名称でした。

ここでクレオール(Creole)という混血児が誕生します。クレオールは白人並みの地位が保証され、ヨーロッパへの留学で高等教育を受けられる存在でした。もちろんこの高等教育の中にはクラシックも含まれており、この教育を受けた者がニューオリンズにおいて黒人音楽との融合の役割を果たしました。

マーチングバンド → ブラスバンド

アメリカ南北戦争の終結後、軍隊で行進に使われていた楽器は民間へ払い下げられます。楽器を安価で手にする事が出来るようになった黒人や戦争で軍楽隊を務めていた黒人の中には演奏を生活の糧とするようになるものも現れます。特に吹奏楽器が割りあい的に高かった為、ブラスバンドとして発展しました。現在でも伝統として葬送音楽を演奏するブラスバンドが活躍中です。この葬送でセカンド・ライン(Second Line)と呼ばれる独特のビートが生まれ、多くのブラックミュージックへ影響を与えることとなります。

以下の動画の4:30辺りからです。亡くなってもみんな陽気w

www.youtube.com

New Orleans Traditional Jazz and Funeral Band - YouTube

Ernest "Doc" Watson's Jazz Funeral - YouTube

New Orleans Brass Band on Frenchmen Street - YouTube

西洋音楽 + アフリカンルーツミュージック = ラグタイム

ジャズの前進となるラグタイム(Ragtime)という音楽が19世紀末に誕生します。大きな特徴はシンコペーションと言われるタメによる裏拍の強調です。これもブラックミュージックにはよく見られる特有の表現です。以下の動画がわかりやすいかと。

シンコペーションの使用例 - YouTube

近年(といっても70年代)ラグを有名たらしめたのはスコット・ジョプリン(Scott Joplin)のジ・エンターテイナー(The Entertainer)であることは間違いないでしょう。当時は見向きもされなかったようですが。

www.youtube.com

存命中にヒットしたのは以下のメイプル・リーフ・ラグです。ラグの基本となった曲で沢山の模倣の対象になりました。

Maple Leaf Rag - Ragtime Piano at Disneyland - YouTube

ジャズの成立

こうした下地の元にジャズは誕生しました。ジャズの要素とは

  • ブルース(黒人のルーツミュージック)
  • クレオール(西洋音楽 クラッシク)
  • ブラスバンド(セカンド ライン)
  • ラグタイム(シンコペーション)

であり、各要素が上手く交じり合ったモノです。

クラシックのように脈々と受け継がれ洗練されてきた訳ではなく、20世紀初頭の文化の衝突からごった煮により化学反応が起き、瞬間発生したインスタントミュージックの奔りだったと解釈しています。(ミクスチャーミュージックとも言えるかな?)

昔は黒人のニューオリンズジャズとの区別で白人のこうした形態の音楽をディキシーランドジャズと言っていたようですが、今ではそうした意識も薄れどちらでも通用する呼び名となっています。

ディキシーの定番とされるBasin Street Bluesはちょっとぬるい感じがするのでやっぱりコレですね。

When the Saints Go Marching In(聖者の行進)

モダンジャズではサックスやトランペットが花形楽器と思われますが、ディキシーではコルネットがリード楽器として非常に活用されています。以下の動画ようなロングトーンをバディ・ボールデン*2が吹いていたのかもしれません。

www.youtube.com

以下はディキシーの代表曲

11. BASIN STREET BLUES - ANDREA MOTIS, J. CHAMORRO, J.M. FARRÀS - YouTube

Dutch Swing College Band plays "That's A Plenty" - YouTube

Tiger Rag - Midlife Jazzband / Swiss Dixie Jazzer - YouTube 

白人側からの発展

アーリー アメリカン ソング

黒人との交流は隔絶された感もあるかと思いますがアメリカ音楽の父と呼ばれるスティーブン・フォスターはミンストレルショー(黒人を風刺した大衆芸能)向けの曲を書いたりもしていました。また非常に黒人奴隷の苦しみを理解し曲に反映させる作詞家・作曲家でもありました。

「主人は冷たい土の中に」は歌詞を一部転載しておきます。著作権保護期間が終了してパブリックドメイン化(PD)されている曲なので大丈夫ですよ。

草原に響きわたる
黒き同胞たちの哀歌
マネツグミたちは楽しく
戻らぬ日々を歌う
ツタの生い茂る
草葉の陰の墳丘に
あの優しかった主人は眠る
冷たい、冷たい土の中に
トウモロコシ畑の一面に
悲哀の歌が聞こえる
黒き同胞たちが涙を流し
主人は眠る、あの冷たい土の中に

www.youtube.com

フォスターの曲は「邦題 夢路より」なんかも日本では親しまれていますね。

Beautiful Dreamer 夢路より エレクトーン - YouTube

 

また典型的なカウボーイソングのレッドリバーバレー(赤い河の谷間)などは白人のディキシーバンドがジャズちっくに演奏しています。歌詞は悲しい曲なのにディキシージャズ風に料理するとまあ陽気な感じにw

www.youtube.com

以下のリンクは原曲に忠実(?)ではないかもしれませんが中々分かりやすい仕上がりです。

"Red River Valley" - YouTube

Red River Valley Cover Challace Earls - YouTube

ティン・パン・アレー(Tin Pan Alley)

ジャズスタンダードを語る上では最も重要なワードです。ティン・パン・アレーとはニューヨークのブロードウェイの一角にあった音楽出版社が寄り集まった地域のことを指します。

Tinとはスズ(錫)、Panはフライパンのパン まあ鍋ですね、Alleyは通りのことです。当時はまだ蓄音機など家庭で使用できる音楽機器の普及はなく、楽譜 イコール 音楽であり、それを購入して演奏して楽しむというのが一般的でした。

なのでこの楽譜を購入に来たお客の為に試奏するのですが、営業中ずっとピアノが響き渡るのを表してティン・パン・アレーなどと呼ばれるようになりました。

このお客の為に試奏したり、売り込んだりする者をソング・プラガーといいます。

このソング・プラガーこそが後に幾つものジャズスタンダードを後世に残す大作曲家達へと成長を遂げていくことになります。 

まとめ

どうしてもジャズの発展の歴史として切り口はニューオリンズを基点とします。それは当たり前でもっともなのですが、切り口を多少変えてみると影響を及ぼした度合いというのも幾分か変わって見えるものです。

すぐに次回というわけではありませんが、あと1度前置きを挟んでジャズスタンダードを1曲づつ取り上げていきたいと思います。不定期ですが得意分野ですので出来る限り続けていきます。ずっとジャズばっかり語ってっても読者様に逃げられそうなので他のジャンルも交えながらのんびりやっていきます。

Jazz It Up! マンガまるごとジャズ100年史

Jazz It Up! マンガまるごとジャズ100年史

 

*1:過酷であったのは間違いないでしょうが過酷であった為に生まれたわけではない

*2:諸説あるがジャズ創始者の一人 コルネット奏者 河向こうまで音が響いていたらしい