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画竜点睛を欠く

タイトルの如く不完全燃焼なアラフォーブログ 本と音楽と映画が主軸

映画「鑑定士と顔のない依頼人」(The Best Offer)と漫画「ギャラリーフェイク」(細野不二彦)

映画 映画-ジュゼッペ・トルナトーレ 本-漫画

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鑑定士と顔のない依頼人

この映画はニュー・シネマ・パラダイスや海の上のピアニストの監督ジュゼッペ・トルナトーレの新作(と言っても2年前の公開)です。この両方の映画でタッグを組んでいるエンニオ・モリコーネが音楽を担当しています。

しかし今回は感動巨編というよりミステリー仕立ての恋愛モノという趣でした。

www.youtube.com

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鑑定士と顔のない依頼人

鑑定士と顔のない依頼人

 

 

wikiを見るともう完全にネタバレ必死の全ストーリーが書かれていますので、エピソード記憶派(初見が肝心)という方は見ないことをオススメします。

togetter.com

なぜかと言われれば、やはり謎めいた流れで話が進み、小物などを利用した伏線などかなりディティールにこだわった作りとなっていますので、大筋が分かってしますと「はは~ん!これがそうか」などと面白みが半減してしまうかもしれません。

 

と書いてはみましたが、ここから多少【ネタバレ】があります。

まずあらすじからです。

卓越した審美眼から美術品の真贋を見抜く鑑定士、またオークションの競売人を生業としているヴァージル・オールドマン(ジェフリー・ラッシュ シャイン英国王のスピーチに出演)が、両親の遺産である美術品を査定して競売にかけて欲しいという依頼を受けることになるところから物語が始まります。

依頼者であるクレアは姿をみせず、電話でのやりとりが続くのですが、様々な展開へ経て、美しいこの依頼人と対面し、魅かれていくという流れなのですが・・・ 

劇中で伏線として出てくるオートマタ(自動人形)という細かな部品を組み立てて出来上がる代物ですが、実際18世紀に自動人形を製作していた職人が存在していたという点が驚きでした。

ジャック・ド・ヴォーカンソン - Wikipedia

そしてこのオートマタを組み上げる機械職人へは以下のようなセリフを口にします。 

骨董の世界にはルールがある

“出所を明かさぬこと”

プロフェッショナルらしい粋なセリフです。 

また依頼人のクレアへ生い立ちを話すシーンでは以下のように喋っています。

親を亡くし、孤児院で育った。悪さをすると修道女たちは罰として絵画修復師の手伝いをさせた。見事な技術を見たくて、わざと悪さを重ね修復師の元にいけるようにした。そして絵画の知識をはじめ画法について真贋を見分ける技術など多くを学んだ。

主人公ヴァージルは私のことなど面白くもないと前置きしながらも淡々と依頼者のクレアへ話しをするのですが、最後にインタビューでこんなことを言っていたわねとクレアが投げかけます。

いかなる贋作の中にも必ず本物が潜む

このセリフこそがこの映画最大のキーワードであり、ラストシーンの引き合いとして考えさせられる作りになっていると思われます。

もうけっこう沢山のブログで感想が綴られているので、そちらで全容を確認されてもいいと思いますが、オススメです。僕は去年レンタルで鑑賞しましたので機会がありましたらぜひご覧になってみて下さい。

最後まで観終わった感想ですが、僕は本物であったと思いたい派です。

何が本物であったのか?是非映画にて!

そしてこの映画を観る前からすぐに思い立った漫画がありました。

 

ギャラリーフェイク 

ギャラリーフェイクは細野不二彦氏による漫画でビックコミックスピリッツで連載されていて当時この為に毎週雑誌を買っていたのを覚えています。漫画は全32巻(文庫全23巻)が出版されており、後にアニメ化もされ全37話の放送がされています。

ギャラリーフェイク 全32巻完結(ビッグコミックス) [マーケットプレイス コミックセット]

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ギャラリーフェイク 全23巻セット (小学館文庫)

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最近てらかっぱさんもおすすめ落語の中でギャラリーフェイクでも題材にされたはてなの茶碗を紹介されていました。

terakappa.hateblo.jp

 

上の映画もそうですが、これも漫画でありますので、かなり能力的にチート(ズルい)設定ではあります。若き頃はニューヨークのメトロポリタン美術館の学芸員(キュレーター)であり、作品を鑑定する審美眼、経年劣化や不測の事態から起こったキズや破損を修復出来る卓越した技術。美術に対する造詣の深さと情熱や愛情それと収集癖。仕事への誠実さや潔癖さ、皮肉交じりのセリフなどなど。

もう私的には映画の主人公ヴァージル・オールドマンとキャラが年齢的な差はあれど、もろ被りで、この漫画の主人公藤田玲司が洋画で蘇ったという見方をついしてしまったのでした。

二人の大きく異なる点は陰と陽ともいえる立場の差でしょうか。

漫画の主人公は贋作といわれる複製品を表では扱っていますが、裏でブラックマーケットと通じていて、時には真作といわれる本物を法外な値段でさばく、または価値の分かる者へは格安やタダで提供する人物として描かれています。

映画の主人公はまさに陽の当たる場所で多くのセレブから信頼され、仕事も順風満帆といった具合です。(自分の競売で代理人を立て望みの品を安く競り落としているという悪さをしている側面はあります)

ですので映画のヴァージルはクリーン。漫画の藤田はダーティーというイメージになるかもしれません。しかし漫画の藤田の美に対し奉仕するという姿はどなたが見てもカッコイイと映るように思われます。

どちらの主人公も分かりやすい二面性を持ち合わせており、このおかげで両極端さが中和され、私はキャラ被りのように見えてしまっているのかもしれません。

この漫画ギャラリーフェイクの法外な値段というところは手塚治虫さんの作品ブラック・ジャックを思い起こさせてくれます。一話完結型の構成やブラック・ジャックでいうところピノコのような役割の助手のサラというヒロインも登場するところから美術漫画版ブラック・ジャックとも言えるかもしれません。(細野先生ゴメンナサイ)

また翡翠(フェイツェイ)というサブキャラが登場するのですが、表では宝石商でありながら、裏で宝石泥棒を生業としているまさに女怪盗がたまに現れます。このあたりは色仕掛けにやられる主人公といった具合でルパン三世のような展開も描かれています。

名作ですので大きな漫画喫茶なら置いていることでしょう。映画を観た!という方は是非ギャラリーフェイクも楽しんでみて下さい!またギャラリーフェイクが好きというかたは鑑定士と顔のない依頼人をご覧になって藤田玲司を思い起こしてみて下さい!